東京・渋谷のビルに掲げられた仮想通貨交換業者の広告(AP)【拡大】
マネックスグループによるコインチェック買収や金融庁の監視強化で再編機運が高まる仮想通貨業界。今年に入ってから価格の下落傾向が続く仮想通貨だが、このまま一時のブームとして終焉(しゅうえん)を迎えていくのか、生活に根ざしたモノへと発展を遂げることができるのかは専門家でも意見が分かれており、業界は大きな転換期を迎えている。
「大手の参入でセキュリティーや法令順守の面で業界水準が高まることを期待したい」
インターネット証券業界を牽引(けんいん)してきたマネックスグループの動きについて、大和総研の矢作大祐研究員は業界が信頼を取り戻す好機とみる。
仮想通貨交換業には、ネット通販などを行うヤフーや無料通信アプリを提供するLINE(ライン)なども参入を表明している。こうした企業が価格変動を抑えた独自の仮想通貨を発行することも考えられ、矢作氏は「仮想通貨が投資だけでなく決済手段になる可能性も高まる」と話す。
一方、メガバンク出身で仮想通貨にも詳しい帝京大の宿輪純一教授は「本格的に決済に使われるというのは考えにくい。投資商品の一つとして生き残っていくのではないか」と話す。仮想通貨は犯罪に使われるリスクが高いとして海外で規制強化の流れが強まっており、主要20カ国・地域(G20)の会議も仮想通貨を「暗号資産」と呼び、あえて「通貨」という表現を避けている。
ある仮想通貨交換業の社長は「仮想通貨の価値がゼロになるリスクは当然ある」とした上で、「将来、決済で使われる通貨の1、2割が仮想通貨になっていれば、その価値は今のような水準であるはずがない」と述べた。(蕎麦谷里志)