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芝浦工大と栄精機製作所がシステム開発 低速でも安定、自転車転倒を防ぐ

 芝浦工業大学大学院理工学研究科の古川修特任教授らの研究チームと溶接加工の栄精機製作所(埼玉県川口市)は、ジャイロ制御による自転車転倒防止システムを開発した。低速時でもふらつかずに、安定した姿勢で走行できる。現在は試作機の段階だが、小型軽量化などの改良を加え、2020年の実用化を目指す。

 自転車の後部荷台に、直径30センチ、重さ4キロの円盤状のフライホイールを取り付け、毎分3000回転で回す。倒れそうになると、フライホイールの傾きをセンサーが検知し、倒れる方向と反対方向にモーターが動いて姿勢を制御する。

 自転車はこぎ出したときと減速するときに、姿勢がふらつきやすく、狭い歩道上でのすれ違いなどで、他者と接触する危険が高くなる。特に重い荷物を載せたり、乳幼児を乗せたりする状態では接触事故のリスクが高まる。古川特任教授は「もしこの自転車が実用化されれば、高齢者や乳幼児連れの人でも安心して自転車を運転できる」と話す。

 試作機ではニッケル水素電池を使用しているが、重さが60キロもあり大型なことから「今後はリチウムイオン電池や小型のモーターを取り入れる」(古川特任教授)ことで、重さ2、3キロまで小型軽量化を目指す。

 システムのコンセプトは古川特任教授らのチームで考え、機器の溶接や取り付けなどは栄精機製作所が担当した。また、開発に当たっては、さいたま市の低炭素型パーソナルモビリティー開発に関する研究助成制度を活用した。

 栄精機製作所は工作機械など産業用機械の溶接を手掛けているが、「自社の製品や技術を直接ユーザーに届けたい」(開発グループの中島也寸志氏)と考え、芝浦工大と産学連携による技術開発に数年前から取り組んでいる。過去には、段差を楽に乗り越えられる6輪式のスイングキャスター付き車いすなどを共同開発している。

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