東芝、韓国で重粒子線がん治療装置を受注 初の海外案件 市場開拓に弾み (1/2ページ)

重粒子線治療装置の契約締結式に出席した東芝の綱川智社長(後列左)ら=29日、韓国・ソウル
重粒子線治療装置の契約締結式に出席した東芝の綱川智社長(後列左)ら=29日、韓国・ソウル【拡大】

 東芝は29日、韓国の延世大学校医療院から重粒子線がん治療装置を受注したと発表した。海外受注は初めて。原子力技術を応用した粒子線治療装置は、患者への負担や副作用が少なく、今後の需要拡大が見込まれる。初受注によって海外市場の開拓に弾みをつける。

 東芝は韓国の大手医療会社と共同受注しており、受注額は約150億円。東芝の畠沢守執行役常務は「最先端のシステムが、がん治療に貢献すると確信している」と述べた。

 粒子線治療装置は大型の加速器を使って、放射線の一種である陽子線や重粒子線を腫瘍に照射し、がんを治療する装置で、従来の放射線治療に比べて副作用が少ないのが特長だ。

 なかでも重粒子線は陽子線より治療効果が高く、照射回数も少なくて済む。だが、加速器など設備が大きく、施設にサッカー場くらいの広さが必要なことが普及を妨げていた。これに対し、東芝は今回「体育館くらいの広さにして導入しやすくした」という。

事業を手放さなかった理由