ソニー、29年ぶりレコード発売 人気再燃を受け自社生産を復活、「文化」復権へ (1/2ページ)

ソニー・ミュージックスタジオに導入されたカッティングマシン(SME提供)
ソニー・ミュージックスタジオに導入されたカッティングマシン(SME提供)【拡大】

 アナログレコードの自社生産を復活させたソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)は21日、29年ぶりとなる復活第1弾のレコード2タイトルを発売する。人気再燃を受け、SMEは今後ラインアップの拡充を図りレコード文化の復権を目指す。

 レコードはかつて音楽の主役だったが、1988年にCDの生産枚数がレコードを上回り、SMEも89年にレコードの自社生産を終了した。

 昨今はスマホなどを使いストリーミング再生で音楽を楽しむ定額制音楽配信サービスが浸透しつつあるが、その一方で、針を落として再生するアナログレコード特有の温かみある音質が見直されてきた。

 日本レコード協会によると、生産枚数が最も少なかった2009年は約10万2000枚だったが17年には約106万3000枚と10倍以上に伸びている。

 ジャケットデザインに魅力を感じ、「ジャケ買い」するファンも増加。プレーヤーがなくても中身の音楽は付属のQRコードを読み取ってダウンロードできるものも多い。アイドルグループもレコードを出しており、同協会は「昭和以来の愛好家に加えて、若いファンの増加で裾野が拡大している」と分析する。

 レコードを成長市場と見たSMEは自社生産の復活を決め、昨年から設備の導入を進めた。マスター音源を入力する「ラッカー盤」に溝を彫るカッティングマシンを手始めに、静岡県内の工場にはレコードの元になる円形の塩化ビニールに金型を押し当てるプレス機を設置した。

自社生産態勢で新盤素早く