首都直下地震や南海トラフ巨大地震などに備え、情報通信企業が災害時の自社サービスの使い方などを周知する取り組みを進めている。有事の際の家族や友人との連絡手段を改めて確認してもらいながら、利用者を増やす狙いもありそうだ。
NTT東日本は2月から、携帯電話やスマートフォンの普及により、公衆電話を知らない子供向けに使い方を伝える取り組みを始めた。
災害時は電話が混み合い、通信規制が実施される場合があるが、公衆電話は規制の対象外として取り扱われるほか、停電時も硬貨なら使うことができる。そのため、東日本大震災が発生した2011年3月11日のNTT東管内の公衆電話の通信回数は前日の約10倍を記録した。
しかし、同社が昨年12月に実施した調査では、公衆電話を使ったことがない小学生は約85%にのぼり、啓発の必要があると判断。使い方を記したシール計14万枚を公衆電話に貼ったり、小学校約2200校へチラシやポスターを配布したりしている。
一方、ピーク時の1984年度に93万台だった公衆電話は16年度で16万台にまで減っている。そのためNTT東は、災害時用公衆電話の配備も進めてきた。
災害時用公衆電話は特設公衆電話とも言われ、学校や役所などで保管。通常時は使用できないが、災害発生時に施設の管理者が電話を設置し、被災者らが無料で使うことができる。停電時も利用可能だ。