1回の服用でインフルエンザの治療ができるという新薬について、塩野義製薬が年内に米国での製造販売に向けて承認申請を行う方針であることが28日、分かった。2019年度の市販化を目指す。日本ではすでに厚生労働省に販売製造の申請を行っており、基幹製品として世界展開を図る。
インフルエンザ治療薬で主流の「タミフル」は5日間の服用が必要だが、同社の新しい治療薬「ゾフルーザ」は錠剤を1回、経口で服用するだけで効果が期待できる。
塩野義はスイス製薬大手、ロシュと開発面で提携し、日本と台湾を除く国・地域で治験などで協力を得ている。ロシュはタミフルの製造販売で実績があり、世界販売での連携も視野に入れる。米国では今年中にも米食品医薬品局(FDA)に承認申請を行う。
塩野義は昨年10月、成人、小児のA型、B型インフルエンザウイルス感染症の治療薬としてゾフルーザの承認を厚労省に申請。画期的な薬の早期実用化のために厚労省が優先的に審査する先駆け審査指定制度の対象となっている。
同社はゾフルーザの世界での売り上げ規模を年間10億ドル(約1086億円)と見込む。
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ゾフルーザ 塩野義製薬が開発しているインフルエンザ薬。細胞内に入ったインフルエンザウイルスの遺伝情報に働きかけて増殖を抑制する。細胞内で増殖したウイルスが細胞の外に放出されるのを食い止める既存薬とは異なり、ウイルスの量が早期に減るので、他人への感染の可能性を低めることも期待されている。