構造的なトラックシフトで米自動車産業は活況を呈している。高採算のトラック収益を未来のモビリティー革命の技術と事業に惜しみなく再投下している。
この行動を加速化させるのが、好調な株式市場に気を吐く株主圧力だ。米企業がこの圧力に迎合している感は否めない。何が株価対策で本質的な変革がどこか。冷静に見極めなければならない部分があると感じる。
日本の上場企業は安定した株主構造の中で、短期的な株主圧力が比較的弱い。長期を見通した安定した経営を実施できるが、同時に、それは甘えにも通じやすい。時代の変化をかぎ分け、将来を見据えた戦略的な判断が求められるだろう。
【プロフィル】中西孝樹
なかにし・たかき ナカニシ自動車産業リサーチ代表兼アナリスト。米オレゴン大卒。山一証券、JPモルガン証券などを経て、2013年にナカニシ自動車産業リサーチを設立。著書に『トヨタ対VW』など。