日本生命保険が、人工知能(AI)を活用して保険の加入や見直しの必要な顧客を抽出するシステムの導入を検討していることが10日、分かった。3月からの実証実験に向け、準備に入った。情報を約5万人の営業職員に伝えてコンサルティング力の底上げを図るとともに、業務効率化を進めて「働き方改革」にもつなげたい考えだ。
顧客の抽出には、米IBMのAI型コンピューター「ワトソン」を利用。年齢や性別、家族構成、契約状況のほか、営業職員とのやり取りの履歴といったデータを分析し、保険の加入や見直しが必要な顧客を割り出し、営業職員の持つタブレット端末に通知する。顧客に説明する際、最適なパンフレットなども助言するという。
子供が生まれたばかりで将来、教育資金が必要になりそうだが死亡保障が十分ではない顧客や、医療保険に加入しているものの個人年金保険といった貯蓄性商品には入っていない顧客を対象に想定している。
保険の営業活動はこれまで、営業職員個人や管理職のノウハウに依存していた。AIを活用することで、全職員が顧客の最も必要とする保険の提案ができるようになる。
コールセンターに寄せられる相談内容もAIで分析し、営業活動に有効活用できないかを検討する。