【株式ニューカマー】ネット広告、アジア市場のナンバーワンに


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 □ジーニー・工藤智昭社長

 インターネット広告関連事業を手掛けるジーニーは、独自開発したインターネットメディアの広告収入を最大化するシステムを軸に、東南アジアをはじめ海外へ進出している。2017年12月18日に東証マザーズ市場に新規上場を果たした工藤智昭社長は「ネット広告市場の急拡大が見込まれるアジア市場でナンバーワンを目指す」考えだ。

 ◆自社システムOEM

 --広告収入を最大化するシステムとは

 「広告主とインターネットメディアを効率良く結び付けて広告枠を自動売買するシステムを提供している。ウェブサイトやスマートフォンのアプリ上に、各閲覧者の属性に合った広告を瞬時に選択し、表示する技術で、メディアや広告主の広告効果や収益を最大化させることができる。自社開発したシステムをOEM(相手先ブランドによる生産)提供しているのは当社を含めて世界で2社しかない。また、マーケティングオートメーションは、企業のマーケティング活動を人工知能(AI)を使って自動化する事業だ」

 --上場した理由は

 「事業をスピードアップさせることが一つ。加えて、知名度を高めて信用力をつけることで、国内大手企業との取引を増やしたい。大きな投資が一通り終わりつつあり、今後5年後、10年後の成長の種を育てることができたため、このタイミングでの上場を考えた。調達資金は新しいシステムの開発や事業拡大に伴う人材採用に充てる」

 --業績の推移は

 「創業から順調に売上高を伸ばし18年3月期は前期比25.6%増の147億3100万円を見込んでいる。来期以降も同様の成長軌道を描くと予想。経常利益については、海外事業や、マーケティングオートメーション事業への投資の影響で、ここ数年安定しなかったが18年3月期は前期比2.7倍と急回復を見込む。今後、これらの事業も収益に貢献すると考えている」

 ◆M&Aも積極的に

 --今後の展開は

 「国内では広告収益最大化プラットフォームがシェア首位となっているが、アジアでもトップを獲得したい。当社は創業3年目から海外展開に着手し、現地で有力企業との連携や営業を推進してきた。シンガポールを皮切りに、ベトナム、インドネシア、タイへ拠点を設け、着々と事業を拡大している。進出先で技術的に優れた会社があればM&A(企業の合併・買収)も行い、事業を強化していく」

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【会社概要】ジーニー

 ▽本社=東京都新宿区西新宿7-20-1 住友不動産西新宿ビル25階

 ▽設立=2010年4月

 ▽資本金=13億8700万円

 ▽従業員=235人 (17年9月末時点)

 ▽売上高=147億3100万円 (18年3月期見込み)

 ▽事業内容=インターネット広告関連、マーケティングオートメーション

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【プロフィル】工藤智昭

 くどう・ともあき 早大院修了。2006年リクルート(現リクルートホールディングス)入社。10年4月ジーニーを設立し、現職。36歳。神奈川県出身。