自分たちの首を絞める? EV普及で実は大変なコトがわかった電力業界の懸念 (1/3ページ)

東京電力ホールディングスと日産自動車が共同で実施する実証試験に使うバン型EV「e-NV200」(イメージ写真)
東京電力ホールディングスと日産自動車が共同で実施する実証試験に使うバン型EV「e-NV200」(イメージ写真)【拡大】

  • 記者会見する電気事業連合会の勝野哲会長=12月15日、東京都千代田区(会田聡撮影)
  • 中部電力が充電にポイントを付与するサービスを展開するトヨタ自動車の「プリウスPHV」
  • 電気自動車にプラグを接続し、施設に電力を送るデモンストレーション

 電力業界が普及の期待の高まる電気自動車(EV)関連の事業に乗り出している。自動車メーカーと手を組み、EVを蓄電池として活用するなど電力システムへの囲い込みを狙う。電気の販売先の広がりにもつながる見込みの一方で、大口取引先である自動車産業の構造変化を促すことになり、それが電力業界の懸念になっているという。自分たちの首を絞めることになりかねないのだ。

 「(EVで)ポイントをためられるのが楽しい」。平成29年12月に東京電力ホールディングスが実施した実証試験に参加した同社の社員はこう声を弾ませたという。

 試験は日産自動車と共同で、東電社員約30人が参加。日産のバン型EVを借りて、太陽光などの発電量が増えそうな指定時間帯に充電するとインターネット通販のポイントがもらえる。

 天候によって発電量が変わる再生可能エネルギーの導入が進む中、EVを使って出力を抑制する取り組みだ。時間帯は天気予報を基に3~4時間ごとに指定し、充電1キロワット時あたりネット通販サイトで使える20~60円相当のポイントがもらえる仕組み。

 経営技術戦略研究所の篠田幸男・プロジェクト推進グループマネージャーは「EVで出力の変動を調整できれば、蓄電池への投資を抑えられる」と語る。試験は30年1月末まで実施し、平日と休日の参加状況の違いや、ポイントの効果を調べる。EVの普及が「数万台規模」に達すれば、事業化を検討する。

EVシフトでも電力量への影響は限定的?