羽田、ロボ働く「未来空港」に 警備、物流、翻訳…あすから実証実験 (3/3ページ)

実験プロジェクトに採択された「Reborg-X」。夜間は警備ロボットとして巡回にあたる=昨年12月、羽田空港
実験プロジェクトに採択された「Reborg-X」。夜間は警備ロボットとして巡回にあたる=昨年12月、羽田空港【拡大】

 「ロボット」と呼ぶには違和感を覚えるかもしれないのが、大型スクリーンのAI接客システム「KIZUNA(キズナ)」だ。声や文章で質問すると、画面に現れる女性キャラクターが人に近い自然な動きをしながら回答するため、画面の向こう側にいる人が対応してくれているように感じられる。こちらも日英中韓の4カ国語での案内業務に従事するという。

 空港従事者が装着するタイプのロボットが「ヒアラブルデバイス(プロトタイプ)」だ。無線のイヤホン型で、マイクやスピーカーのほかに顔の向きや姿勢、移動情報などを検出するセンサーを搭載。屋内測位技術を使った人員配置の把握実験や、マイクとスピーカーを使っての業務支援実験を予定する。

 業務課題の解決に

 羽田空港側も、実験は将来的な導入に向けた検証の場と位置づける。16年度に開催した1回目の実証実験では「清掃」「移動支援」「案内」をテーマに17機種で実験したが、現在も10機種ほどが実際の導入に向けた改修・実験を続けている。日本空港ビルデングの横田信秋社長兼最高執行責任者(COO)は「労働力人口減少が予想される中、業務課題解決のためにはロボット技術は不可欠」と話す。同社の目指す最終目標は、ロボットの方が人よりも生産性が上がる業務を洗い出し、ロボットと人の“分業”で労働力人口の減少をカバーし、サービス向上につなげることだ。

 また、ロボット導入で空港従事者の負荷を下げ、「専門的スキルを持つ人が長い期間働ける環境をつくることで、人材流出や再雇用・再教育にかかる間接コストを削減する」(同社の志水潤一事業開発部次長)狙いもある。(日野稚子)