3メガバンクがかつて断念した「口座維持手数料」の検討を始めた。メガバンクはこれまで主に2回、口座維持手数料を検討したが、預金者からの反発や顧客離れを恐れて本格的な導入はできなかった。メガは現在、自助努力だけでは本業の業績改善が難しくなっているが、「三度目の正直」で預金者の理解を得られるかは不透明だ。
大手都市銀行が口座維持手数料の導入を最初に検討したのは1994年ごろ。バブル崩壊で資金需要が激減したためだ。だが、「過剰融資などのバブルのツケ回し」との批判を恐れ、貸金庫の利用料引き上げなどにとどめた。
2度目は金融再編まっただ中の99年ごろ。一部の都市銀行が、夜間・週末のATM(現金自動預払機)利用手数料などを減免する代わりに、口座残高が10万円を下回れば月数百円の手数料を課す新たな預金を始めたが、預金の一部にとどまり、10年ほどで終了した。
しかし、今回検討を始めた口座維持手数料は企業向けを含む全ての預金口座が対象だ。銀行の自助努力だけでは経営環境の抜本改善が難しくなっている点も過去の導入議論とは事情が異なる。
日銀の中曽宏副総裁は11月末の講演で、銀行の低収益に拍車をかけているのは「適正な対価を求めずに預金口座を維持し続けているからだ」と持論を展開した。