液化天然ガス(LNG)火力発電所の設備の新設・更新が相次いでいる。東京電力の火力発電会社はタンクの増設を進め、中部電力は最新鋭のガスタービンを導入。原発停止の長期化や米国産シェールガスの増加でLNGへの依存が高まる中、発電費用を抑えて収益確保につなげる考えだ。
「タンク底で組み立てた760トンの屋根の下から空気を入れ、3時間かけて上部に持ち上げ溶接するんです」。今月20日、東京電力フュエル&パワーの富津火力発電所(千葉県)で進むLNGタンクの工事を従業員が説明していた。
同発電所は現在のタンク10基(計111万キロリットル)に加え、2015年に2基(計25万キロリットル)を着工。19年3月に営業運転を開始する予定で、現在の最新型から約17年ぶりの増設になる。
佐々木敏郎所長は「シェールガスへの期待がある中、増設で柔軟な運用ができる」と効果を語る。熱量の低い軽質のシェールガスは、従来のLNGと混ぜると大量の蒸気を発生しタンク破損につながる危険性がある。増設で安価なシェールガスの受け入れ態勢を整え、収益改善を目指す。
中部電力は9月に西名古屋火力発電所(愛知県)のLNG火力1基の運転を開始した。従来の石油火力6基を廃止し、LNG火力2基に更新する計画。最新鋭のガスタービンの導入で熱効率は「62%以上」と世界最高水準を達成している。
来年3月に2基目が稼働すれば、LNG消費量は年50万トン削減できるという。四国電力も、住友化学などと愛媛県でLNG受け入れ基地の建設を検討している。