「早期決断はビジネスの基本」なのに… なぜ日本企業は撤退を決められないのか (1/7ページ)

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 新分野への進出、海外への事業展開、新規事業へ着手などには、多額の投資を必要とする。だが、想定外の事態に見舞われなくとも、日常的にかなりの投資が失敗に帰している。それはなぜか。背景にある深層に迫る--。

 投資が決定されるまでのプロセス

 今回の「一穴」

 =投資を行う場合、「3年で単年度黒字、5年で累積損失一掃」といったルールが社内に存在する

 中長期的な経営戦略目標を達成するため、事業拡大を目指す諸活動は企業にとって極めて重要である。新分野への進出、海外への事業展開、新規事業への着手などがその具体例である。多額の投資を必要とするこれらの活動は、どのように行われているのだろうか。

 多くの企業では、一定額以上の投資を行う場合には、取締役会で審議を行うことをルール化している。また、投資額がこの基準に達していない場合であっても、経営上重要であると取締役会議長(代表取締役である会長や社長であることが多い)が判断した場合には、やはり審議される。審議事項として上程されるまでには、後ほど説明するように慎重な検討と採算性等について検討が行われる。このようなプロセスを経るため、投資案については、確認作業や質疑応答が行われるものの、大抵の場合、原案が承認される。

このようにして採択されているにも関わらず、多くの投資は失敗に終わる