□ポエック・来山哲二社長
ポンプや送風機などの環境関連機器を取り扱うポエックは11月28日、東証ジャスダック市場に新規株式公開(IPO)した。卸売業として機器を販売するだけでなく、修理・メンテナンスも手掛けるほか、M&A(企業の合併・買収)で取得した製造業も傘下に収めている。来山哲二社長は「規模は小さくても、きらりと光る製品を開発する」と製造業に一層力を入れていく方針だ。
--卸売りと製造の両方を手掛けている
「ポンプ会社から独立し、卸売業として創業したが、いまでは機器の販売設置はもちろんのこと、メンテナンスも手掛けている。とくに業務用ポンプに関しては工場やマンションなどに必要不可欠の設備機器であり、メンテナンス需要は膨大にある。通常のポンプ修理業者は、限られた地域だけで仕事を受けている。しかし、当社は全国11カ所の拠点を使い、広範な地域のニーズに対応している」
--ポンプを扱う業者は多いが、他社より強い点は
「ポンプの卸売業者は全国に多数存在しているが、メンテナンスも含めてトータルサービスを提供していることが他社にはない強み。顧客はメーカー中心だが、工場、ビルオーナー、ビルメンテナンス会社からも依頼がある。ポンプは1つのビル内でも複数のメーカー製品を使用しているため、修理やメンテナンスをそれぞれのメーカーに依頼しなければならない煩雑さがある。だが当社はあらゆる製品を取り扱えるノウハウがある」
--製造部門の活動は
「これまでに6度のM&Aによって、エンジン用台板など船舶用機器製造の三和テスコ、精密機械部品製造の東洋精機産業などを傘下に置き、グループで商品を製造販売している。例えば、スプリンクラー消火設備用加圧送水装置『ナイアス』は動力に電気を用いず、窒素ガスで加圧して放水できるため、災害時に停電になっても確実に作動する。また、プレート&シェル熱交換器『バーテルス』は、従来製品と比べてコンパクトなうえに、メンテナンスの頻度も少なくてすむ特徴がある」
--上場の目的は
「これまで以上に製造業に力を入れていくためだ。株式資本を活用して資金を調達し、M&Aを加速したい。また当社は広島県福山市の地方企業であり非上場だったので、人材獲得に苦労してきたが、上場によって認知度が上がり、優秀な人材が採用できることを期待している」
--今回、調達した資金の使い道は
「子会社の三和テスコは自社製品の生産力を高めるため、東洋精機産業では機械加工精度を向上させるために、それぞれ設備投資を行う。製品プロモーションや人材確保にも充てたい」
--株主への還元は
「約50%の配当性向で報いる。12年連続で配当を出しているが、ここ数年はほとんど50%以上だ。会社として利益追求は大事だが、これからも高配当を維持していきたい」
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【プロフィル】来山哲二
きたやま・てつじ 駒大経済卒。1970年極東機械製作所(現テラル)入社。五大産業を経て、89年1月五大販売(現ポエック)を設立し、現職。70歳。富山県出身。
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【会社概要】ポエック
▽本社=広島県福山市南蔵王町2-1-12
▽設立=1989年1月
▽資本金=4億515万円
▽従業員=184人 (2017年9月末時点)
▽売上高=53億9900万円 (18年8月期予想)
▽事業内容=環境関連機器の製造販売、機器修理、保守点検