東京都港区や千代田区など都心の一等地で、販売価格が1億円以上の超高級マンション「億ション」の開発が加速している。都心マンションは価格高騰で供給戸数が伸び悩む一方、億ションの売れ行きは好調で、不動産各社が競うように駅近立地などの再開発を進める。億ションはなぜ売れるのか-。
最高価格15億円
東京メトロ六本木駅から徒歩4分。東京ミッドタウンに程近い閑静(かんせい)な住宅地で、東急不動産が販売を本格化したのが超高級マンション「ブランズ六本木ザ・レジデンス」(東京都港区)。地上8階(地下2階)で総戸数は51戸。平均価格は約3億8000万円で、7、8階部分のメゾネットタイプ(313平方メートル)は最高価格15億円に達する。
強気の価格設定は「この立地で、この広さを確保できる物件はなかなか出ない」(佐藤知之執行役員)といった希少性に加え、部屋数と同じ数の駐車場や大型ルーフバルコニーなどを備えたことも大きな理由だ。一部の会員向けに7月から販売を始め、既に駐車場直結の1階住戸は完売したほか、全体でも4割(11月中旬時点)が成約済みだ。
「なかなか高級物件に本腰を入れられず、ライバルに後れを取っていたが、ようやくブランド力も上がってきた」。古沢繁之常務は手応えを口にする。