三菱電機は7日、がんの治療に使われる粒子線治療装置の事業を日立製作所に売却する、と発表した。売却額は明らかにしていないが、数十億円とみられる。三菱電機は国内では納入実績が最も多いものの、海外では受注できていなかった。
日立は2018年4月をメドに三菱電機の事業を自社の事業に統合。三菱電機が国内9施設に納めた装置の保守やサービスも引き継ぐ。神戸市の開発・製造拠点などで従事する約100人の人員を移籍させるかは今後詰める。
日立はヘルスケアを重点領域に掲げ、日本と北米、アジアで13施設から粒子線装置を受注した実績がある。三菱電機の事業買収で特許を含む技術を取り込み、競争力を高める。
粒子線装置は、大型の加速器を使って放射線の一種である陽子線や炭素線(重粒子線)を腫瘍に照射し、がんを治療する装置で、従来の放射線治療に比べて副作用が少ない。現在、世界で70台以上が稼働。今後は先進国に加え、中国などの新興国でも需要が拡大し、年10台程度が新設されると予想されている。日立はベルギーのIBAと米国のバリアンに次ぐ3位グループにつけているが、年間6台程度の受注獲得を目指す考えだ。