EV普及で“走行税”浮上も ガソリン税収大幅減、財政再建に影 (3/3ページ)

東名高速道路上り海老名サービスエリア付近。EVが普及すればドライバーの税負担も変わりそうだ=5日午後
東名高速道路上り海老名サービスエリア付近。EVが普及すればドライバーの税負担も変わりそうだ=5日午後【拡大】

  • 東京モーターショーで日産が展示したコンセプトEV。電動化の進展でガソリン税収は減少が見込まれる=10月、東京都江東区

 だが、自動車の電動化が急速に進むシナリオでは、30年に35カ国の新車販売の30%がEVやFCVなどに代わり、税収は2700億ドルと27%減少する。50年には新車販売のうちガソリン車などがなくなると想定し、税収は790億ドルと15年の2割程度に縮小する。

 日本では15年度の揮発油税の税収(国税分)は約2兆4600億円。これが2割程度になると、消費税1%分に相当する約2兆円が吹き飛ぶ計算だ。

 政府・与党は19年10月に消費税率を8%から10%に引き上げ、増収分は教育無償化などに充てる方針。20年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する目標の達成が一段と難しくなる中、急速なEV化は財政健全化の思わぬハードルになりそうだ。(会田聡)

【用語解説】電気自動車(EV)

 ガソリンを使わずモーターで走る自動車。日産自動車は全面改良した新型「リーフ」を10月に発売した。ドイツのBMWも日本でEVをすでに販売。フォルクスワーゲン(VW)は主力車「ゴルフ」のEVの国内受注を10月に始めた。トヨタ自動車はマツダなどと連携して開発を進めている。ホンダは2020年に日本で発売する方針。英国とフランスは、40年までにディーゼル車とガソリン車の販売を禁じる方針を発表。世界最大の自動車市場である中国も追随する方針とみられ、政府主導でEVシフトを迫る動きも出ている。