株式市場が期待するように変革が短期的に起こるか、あるいは期待先行にすぎず秩序ある段階的な革新にとどまるのか、見通しへの確信度は現段階では低い。そうは言っても、長期的には「CASE」の方向性を疑うものではなく、想定以上に変化が早まり、18年は激変の年となる可能性があるだろう。
自動車は産業の王者として君臨してきた。ビジネスモデルは安定的で、時には国家にも保護され、秩序ある革新を積み上げてきた。巨大産業だけに、「秩序を大切にした変化を遂げるはずだ」と考える楽観論に甘えてはならない。国内自動車産業は迎える時代の変化をかぎ分け、将来を見据えて戦略的に進むことが大切である。
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【プロフィル】中西孝樹
なかにし・たかき ナカニシ自動車産業リサーチ代表兼アナリスト。米オレゴン大卒。山一証券、JPモルガン証券などを経て、2013年にナカニシ自動車産業リサーチを設立。著書に「トヨタ対VW」など。