「百貨店業界の底入れは本物」 失速したはずの“爆買い”が帰ってきた背景 (2/3ページ)

 実は爆買いにブレーキがかかった後も、インバウンド数自体は順調に増え、販売件数は伸びているのだ。

 爆買いが流行語になった15年、3~8月に計26万5000人のインバウンドがJ.フロントが運営する主要百貨店に来店したが、17年の3~8月はそれを大きく上回る38万8000人が訪れた。為替が円安に振れたことも売上高に貢献した。「化粧品は相変わらず好調だが、ブランド品など高額商品も中国人の購買意欲が戻ってきている」(担当者)。

 中国人の買い方に変化、富裕層向けも業績支える

 中国人観光客の商品の選び方にも変化が出ているという。「これまでは『このメーカーのこの型番が欲しい』と最初から指定してくる客が多かったが、最近は店員のアドバイスなどを聞き、よく自分で選びながら商品を見極めている客が増えた」(同)。

 中国マネーは東京や大阪以外の地方の店舗にも回り始めている。インバウンドの売り上げは、格安航空会社(LCC)の発着便数が多い関西の店舗が大半を占める一方、松坂屋名古屋店の免税品売上高も、額は少ないが、前年同期比で100.4%増の9億円に膨らんだ。静岡店も68.8%増えた。

 リピーターの訪日客が増えていることが要因として挙げられる。「数年前は団体バスで東京や大阪の店舗に大量に押し寄せていたが、最近では訪日2回目以上の個人客が増え、地方の店舗にも足を運ぶようになってきた」(同)。

 中国人観光客の関心や消費は「モノ」から「コト」(サービス・体験)へ移行しており、地方の観光地の人気が高まっていることなどが背景にあると考えられている。

関係者は「下げ幅は落ち着いてきている」と分析