--実用レベルにまで高める段階でさまざまな課題があった
「十分な強度を得ることが難しかった。一般的にエアロゲルは少しでも曲げると割れる。研究室レベルでは強度よりも断熱性向上が最大のテーマだが、それでは建材としては使えない。そこで京大理学部と共同で研究を進め、エアロゲルの分子レベルでの組成を組み替えることにより、柔軟性を高め解決した。窓ガラスやサッシに使う場合、ガラスとガラスの間に挟み込むかたちで使えば、強度も断熱性も確保できることが分かった」
◆YKKAPと共同研究
--YKKAPとの共同開発に取り組んでいる
「ベンチャー1社だけで、全ての技術課題の解決は困難と考えた。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による起業家向け顕彰制度に採択されたのを機に、ビジネスプランを磨き、数多くのコンテストに出場した。その後、2017年4月にYKKAPと共同研究契約にこぎ着け、スーファを使った窓ガラスの耐久試験などを行っている。20年には量産化する予定だ。原材料となる粉末タイプは、来年度から材料メーカーなどへ供給を始める」
--生産体制は
「研究拠点となる京都市内2カ所と東京都内でサンプルの生産を行っている。既に自動車部品などの多くのメーカーからの引き合いが入り、生産が間に合わない状態になっている」
--量産をどう進めるのかが当面の経営課題だ
「複数のベンチャーキャピタルや事業会社などを引受先とする2回目の第三者割当増資を検討している。年内をめどに3億~5億円程度調達し、量産化技術の確立につなげたい」(松村信仁)