東芝、テレビ事業を売却 中国ハイセンスに129億円 パソコン撤退も現実味

東芝の看板=東京都港区芝浦(宮川浩和撮影)
東芝の看板=東京都港区芝浦(宮川浩和撮影)【拡大】

  • 事業売却を発表した東芝のテレビ
  • 東芝本社が入るビル=東京都港区(原田史郎撮影)

 経営再建中の東芝は14日、赤字続きのテレビ事業を手がける子会社の株式の95%を中国家電大手の海信集団(ハイセンス)に売却すると発表した。売却額は約129億円。収益体質の改善に向け、不採算事業の整理を急いでおり、パソコン事業からの撤退も現実味を帯びる。

 売却するのはテレビの製造・開発子会社「東芝映像ソリューション」で、売却手続きは平成30年2月末以降に完了する予定。債務超過である同社の財務状況を勘案すると売却益は約250億円になる。

 残り5%の株式は東芝が引き続き保有する。従業員の雇用や処遇は一定期間維持される。青森県の工場や国内販売網はそのまま活用し、国内で展開する「レグザ」ブランドを継続する。

 東芝は昭和35年に国内で初めてカラーテレビを発売したことで知られ、家電事業の中核だった。だが、近年は韓国や中国勢の台頭による競争激化や薄型テレビのコモディティ(普及商品)化による価格下落などが響き収益が悪化した。

 平成27年12月までに海外でのテレビ生産・販売から撤退し、事業を国内に絞るなどてこ入れを図ったが、テレビ事業の営業利益は29年3月期までに6期連続で赤字。投資余力が乏しい東芝の傘下での立て直しは難しいと判断した。

 東芝は債務超過を解消するため、営業利益の約9割を稼ぐ半導体メモリー事業を来年3月末までに売却する方針。今後はエレベーターや水処理施設などの社会インフラのほか、発電所などのエネルギーや情報システム事業を収益の柱に据え、経営再建を目指す。

 一方、稼ぎ頭を手放した後も安定した収益をあげるため、すべての赤字事業で徹底的な構造改革を行う方針。白物家電、テレビに続き、パソコン事業からも撤退すれば、消費者向け事業はほぼなくなる。