【郵政の苦闘 民営化10年】(下)日本郵政の大型買収、もう許されぬ「失敗」 野村不動産買収を目指した理由は… (3/3ページ)

東京・霞が関の日本郵政ビル
東京・霞が関の日本郵政ビル【拡大】

  • トール・ホールディングスの買収を発表する日本郵政の西室泰三社長(当時)。国際物流事業強化が狙いだった=2015年2月

 29日に新しい株主に受け渡され、政府の保有比率は80%超から60%弱に下がる見通し。日本郵政は少なくとも、数字の上では脱・国有化に一歩近づく。

 今後の焦点は、金融2社株の追加売却に移る。売却が進むと、日本郵政は巨額のキャッシュを獲得する一方、両社がもたらしてきた利益はグループ外に流出する。日本郵政の長門正貢社長は「郵便だけを持つ会社になることを考えると、何らかの売上高のカバーが必要。M&A(企業の合併・買収)が有効な手段であることは変わらない」と強調する。

 トール、野村不動産と苦杯を味わってきた大型買収で「三度目の正直」となるか。地道な収益改善策とともに、民間企業らしい次の“一手”にも注目が集まる。(この連載は高橋寛次、大坪玲央が担当しました)

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