29日に新しい株主に受け渡され、政府の保有比率は80%超から60%弱に下がる見通し。日本郵政は少なくとも、数字の上では脱・国有化に一歩近づく。
今後の焦点は、金融2社株の追加売却に移る。売却が進むと、日本郵政は巨額のキャッシュを獲得する一方、両社がもたらしてきた利益はグループ外に流出する。日本郵政の長門正貢社長は「郵便だけを持つ会社になることを考えると、何らかの売上高のカバーが必要。M&A(企業の合併・買収)が有効な手段であることは変わらない」と強調する。
トール、野村不動産と苦杯を味わってきた大型買収で「三度目の正直」となるか。地道な収益改善策とともに、民間企業らしい次の“一手”にも注目が集まる。(この連載は高橋寛次、大坪玲央が担当しました)