日本のロウソク市場が伸び悩むわけ 「文化的な弱さ」を灯し出す? (1/3ページ)

【安西洋之のローカリゼーションマップ】

 「神仏需要のロウソクと心のリラックスのためのキャンドル。これら2つの商品群に分かれますが、両市場とも期待通りには伸びてくれない、というのが日本の現状です。『火は危ない』でとどまり『火を危なくないよう扱う』へのマインドセットが難しいのです」

 こう語るのは国内でのロウソク最大手、カメヤマ株式会社の営業本部長・金指琢也さんだ。

 金指さんとお会いし、ぼくが書いた「ロウソクが実は成長産業であるという意味 衰退産業をよみがえらせる『意味の革新』」という、欧州のローソク市場に触れた記事を同社の営業の方たちが読んでくださったのを知った。それには冒頭のようなわけがあった。

 欧州では年々ロウソク市場が伸びている。明かりをとるためではなく、心を癒すために使われているのが欧州の成長の大きな要因だ(金指さんの言葉を使えば、キャンドル市場が伸びている、ということになる。が、このコラムではロウソクで統一する)。しかし、日本でロウソク市場は伸び悩んでおり、心を癒したいという願いに「ロウソクは危険」という警告が勝っている。

 宗教的儀礼に使われるロウソク需要に壁があるのではないか。また「イケアなどの売り場で沢山のロウソクがあるのを見ると好調ではないか?」との推測もある。

 日本市場の数字はメーカーデータの積み上げで、イケアなどの販売数を反映したものではない。しかし、それは欧州も同様で、欧州もメーカーの数字に基づいている。そして宗教用ロウソクは日本も欧州も頭打ちだ。が、欧州メーカーの生産・販売量は伸びている。

 この差は一体何なのだ?

火を見つめることは人の心を鎮める

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