日立製作所は、人工知能(AI)技術とウエアラブル技術を活用した組織の幸福感(組織活性度)を計測する技術について、2016年6~10月に日立グループ内の営業部門を対象に実証実験を行った結果、AIによる従業員への働き方アドバイスが、組織活性度の向上に寄与することを確認したと発表した。
「個人の無意識」分析
日立では、社会課題となっている働き方改革に対し、人や組織の活性度、幸福感と生産性の関係に着目し、人工知能「Hitachi AI Technology/H(以下、H)」と、名札型ウエアラブルセンサーの活用による組織活性度を計測・分析する技術を15年に開発した。
ウエアラブルセンサーでは、赤外線送受信装置により会話の量や相手(二者間の対面状態を赤外線で検知)を、加速度センサーにより体の動きや会話の質(体の揺れから振る舞いを推定)をデータとして取得。また、赤外線ビーコンを設置することでエリアに滞在している人を検知し、例えば会議の人数や時間などを算出することを可能にした。
こうして定量化されたデータと幸福感に関する質問の調査結果からは、無意識な身体運動の持続時間の多様性が、組織の幸福感と強く相関していることが判明。人間には無意識に身体が静止している時間があり、「静止せずに動き続ける時間(持続時間)」の分布を調べると、活性化し、ムードが良く、幸福感の高い組織ほど、持続時間の多様性・ばらつきが大きいことが分かったという。