冒頭で紹介したように、店への期待値は下がっていない。前述したスタバのバイト歴3年の女性は「今でも大好きなブランド」と話し、企業の採用現場では「接客がきちんとしたスターバックスのアルバイト経験を続けてきた人は、その点では高評価」という声もある。
いまは一生懸命働いても思うように給料が上がらない時代だ。生活に余裕のある人は決して多くない。以前に比べて欧米ブランドへの「憧れ」も薄れ、「日常生活」でのコストパフォーマンスが重視されるようになっている。だからこそ、「カッコつけるのが、カッコ悪い」という逆説が成り立つのだろう。その意味で、スタバは「踊り場」を迎えたのかもしれない。
高井 尚之(たかい・なおゆき/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)
経済ジャーナリスト・経営コンサルタント
1962年名古屋市生まれ。日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆多数。近著に『なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか?』(プレジデント社)がある。
(経済ジャーナリスト 高井 尚之 撮影=宇佐美利明(スタバ)、高井尚之(セブンカフェ、ドトール))(PRESIDENT Online)