【宮城発 輝く】青沼電器商会「カホン工房アルコ」 (2/4ページ)

2017.6.8 05:00

カホンを製作するワークショップ。たくさんの人が参加し、カホンづくりに挑戦している(青沼義郎氏提供)
カホンを製作するワークショップ。たくさんの人が参加し、カホンづくりに挑戦している(青沼義郎氏提供)【拡大】

  • ドラムの再現ができる箱形の木製楽器「カホン」

 さらに仙台、東京と全国の楽器店に販売網が広がり、一般の人からも問い合わせが来るように。現在では海外から注文が来るほどの“世界的”な楽器メーカーとなった。

 ◆丁寧さで品質保持

 削り方で音が変わるため、製作はほとんど1人だ。手作りの部分が多く、丁寧な仕事で世界レベルのクオリティーを維持している。くぎやねじは使わずに接着するため、製作には3日ほどかかるという。

 全国の楽器フェアなどにも参加し、カホンの知名度も上がってきた矢先、東日本大震災が発生した。最大被災地ともいわれる石巻市には2メートルもの津波が押し寄せ、工房の1階が被害に遭った。

 「震災当日は自宅に帰りましたが、翌朝、工房に来てみると作業場が泥とがれきだらけ。全国から多くの励ましをいただき、ボランティアの方々に片付けを手伝っていただいて本当にありがたかった」

 幸い、カホンの材料を置いていた2階部分は無事だったため、片付けが終わり、電気が復旧してからはカホンの製作を再開することができた。

 震災前、世界的には知られていても、地元での知名度は高くなかった。しかし、震災後に復興支援プロジェクト「石巻に恋しちゃった●」に参加したことでその名が広まり、石巻を代表する会社として市民にも親しまれるようになった。

 カホンづくりのワークショップには多くの人が参加しており、参加者の楽しそうな顔を見ると幸せを感じるという。

 「カホンは誰でもすぐに楽しめる楽器。たくさんの人に楽しんでもらえるよう、これからも作り続けたい」(大渡美咲)

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