「ワーイ、モバイル!」、「UQモバイル、だぞっ」。テレビCMも盛んに放映されているソフトバンクの格安スマートフォンブランドのワイモバイルと、KDDIの子会社UQコミュニケーションズの格安スマホブランドのUQモバイル。両ブランドはソフトバンクとKDDIの「サブブランド」と呼ばれ、NTTドコモなどの回線を借りて格安スマホ事業を運営する仮想移動体通信事業者(MVNO)とは別格の知名度を誇り、契約者数も増え続けている。しかし、他のMVNOや有識者からは、「携帯大手の資本力を武器にほかのMVNOを邪魔している」などの批判も受ける。総務省は、国策の格安スマホ市場の牽引(けんいん)役をつぶすことにもなりかねないことから、サブブランドへの対応に頭を悩ませているようだ。
KDDIは今年2月に発表した平成28年4~12月期決算から、auブランドの契約者数と、サブブランドのUQなど傘下のMVNOの契約数を合わせた合計で成長を目指す方針を示している。KDDIの田中孝司社長は、今後のモバイル通信料収入は「MVNOの拡大が牽引する」との見通しを示している。裏を返せば、au契約者数のみではモバイル収入の増加が見込めないことを意味しており、実際、29年3月期決算で公表されたau契約者数は27年6月末の2572万人から29年3月末の2514万人まで減少を続けている。