また、年賀はがきと通常はがきで料金が異なってしまうことも看過できない。これまでは年賀はがきが余っても、いつでも使える安心感があった。だが、今回の値上げで年賀はがきの買い控えも起こりうるのではないか。
19年10月に予定される消費税率引き上げの際には、郵便は再値上げの方針とも言われており、値上げと“はがき離れ”の負のスパイラルも懸念される。
ただ、日本郵便の事業で、それ以上に首をかしげざるを得ないのが高齢者向けの「みまもりサービス」だ。日本郵便では16年度中のサービス開始を目指していたが、新年度になってもスタートのめどがたっていない。事業化が遅れている直接の原因は、高齢者に持たせるタブレット端末を調達するIBMと調達条件などで折り合いがつかないことなどが理由だという。そもそも高齢者にタブレット端末を持たせるというビジネスモデルに違和感を覚える。
この「みまもりサービス」の原型は国営時代に郵便配達員が高齢者宅で雑談をして無事を確認していたものだ。雑談というが、当時は郵政三事業一体で、配達員は貯金や保険を直接扱っていた。お金の出し入れを通じて健康状態や生活の変化にも気づいただろう。
だが、民営化により、郵便局長や配達員が出先で貯金や保険を直接扱うことはできなくなった。分社化の影響もあって地域とのつながりも希薄になったとも聞く。何より、ビジネスとなれば求められるモノも違ってくる。本当に高齢者が緊急時にうまくタブレット端末を操作できるかも疑問だ。