海外旅行ツアーのインターネット販売を手掛けていた旅行会社、てるみくらぶ(東京都渋谷区)の破産手続き開始は、旅行業界の置かれた経営環境の厳しさを浮き彫りにした。大手が増加している訪日外国人客の需要を取り込む一方、引き続き中小業者の倒産が目立つ。背景には予約サイトの普及が中小事業者の安値競争に拍車をかけている構図があり、今後も業界の淘汰(とうた)が進む可能性がある。
「今回の事例を踏まえ、さらなる消費者保護の対応を検討する」。石井啓一国土交通相は28日の閣議後会見でこう述べ、旅行者に対する弁済が少額にとどまる見通しに危機感をあらわにした。
てるみくらぶは、ハワイやグアムなどの格安ツアーを販売、2016年9月期の売上高は過去最高の195億円に達したが、積極的な広告宣伝や人件費の増加で収益が悪化した。山田千賀子社長は「経費がかかりすぎた」と説明。民間調査会社の帝国データバンクは「クルーズ船にも手を広げるなど、身の丈に合わない経営だった」と分析する。
一方で、今回の経営失敗を引き起こした遠因には、旅行業界を取り巻く競争環境の激化がある。