「格安」をうたって海外ツアーのオンライン販売を手がけていた旅行会社の「てるみくらぶ」(東京)が27日、東京地裁から破産手続き開始の決定を受けた。負債額は約151億円。同社をめぐっては顧客から「航空券が発券できない」などとする苦情が相次ぎ、観光庁が旅行者への影響などについて調査を始めていた。旅行予約済みの8万~9万人がサービスを利用できない見込み。
国土交通省で会見した山田千賀子(ちかこ)社長は「お役に立つことだけを思ってやってきた。多大なる迷惑をかけて申し訳ありません」と謝罪した。
同社は旅行代理店への債務を支払うことができず、ホテルや航空券などを既に予約した顧客はサービスを利用できないため、渡航の中止を呼びかけている。
既に渡航している顧客は現地で追加の費用を要求される場合がある。ハワイ、韓国、欧州の渡航者が多く、23日時点で、約3千人が海外に渡航しているという。
同社によると、ネット販売の競争激化に伴い、2年前から新聞などに広告を出したが、経費がかさみ資金繰りが悪化した。円安で海外への外貨建て支払いが膨らみ、収支が悪化したことが追い打ちとなった。
てるみくらぶは平成10年に設立。28年9月期の売上高は約195億円だった。札幌、名古屋、大阪、福岡に支店がある。