カジュアル衣料品店「ユニクロ」は16日、有明(東京都江東区)に移転した新本部「ユニクロシティー東京」を公開した。ユニクロは顧客の要望に迅速に対応し、商品供給のスピードを早める「有明プロジェクト(PJ)」を推進しており、新オフィスはその重要拠点で、2月から稼働している。記者会見したファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は「情報製造小売業に転換し、社員の働き方も変えたい」と意気込みを語った。
東京湾岸にある新オフィスは6階建てビルの最上階。建物の幅が約240メートルで、敷地面積は約1万6500平方メートルに上る。このため、読書スペースや至る所にソファが設置され、まるで高級ホテルのような雰囲気。
ユニクロは2月、商品開発やマーケティング、販促などに携わる約1000人が港区のオフィスから新オフィスに移った。これまで商品開発や生産、販促などは一つの工程を終えて次の工程に進んでいたが、有明では各部門が集約され一つのフロアにいるため、同時並行で作業を行う。将来的には商品の企画から販売までの期間を従来の1年から約2週間に短縮する。
背景にはスマートフォンの普及で顧客の売れ筋の変化が速まっていることがある。有明では社員の働き方も変えて、全社員がリアルタイムにつながり、同時に連動して作業を行う形にする。人工知能(AI)も活用し、顧客に最適な商品を供給する態勢を構築する。
すでに「ZARA」を展開するスペインのインディテックスは商品の企画から販売まで2週間で行っている。
柳井会長は有明PJを「1~2年で本格的に稼働させたい」と語った。