宅配最大手のヤマト運輸が運送業務に従事する約7万人を対象に勤務実態の詳細を調査していることが4日、分かった。勤務時間が会社側の認識よりも多ければ、時間分の賃金を未払い分として支払う方針だ。インターネット通信販売の普及などで宅配便の荷物個数が急増し、トラックドライバーを中心に長時間労働が慢性化しており、現場の労働環境の改善を進める。
支給額は、1人100万円程度になるケースもあるとみられ、総額は数百億円に達する可能性もある。
調査対象は、ヤマト運輸で宅配をするトラックドライバー、営業所の事務職員や、運送業務に関わるグループ会社の社員。働き方改革の一環として2月から調査を始めた。
事業所に設置したタイムカードや、ドライバーなどの配達員が業務で持ち歩くオンライン携帯端末の起動時間などを基に労働時間を管理しているが、端末の電源を切った状態での業務などがなかったかどうか、社員などに聞き取り調査を実施する。早ければ月内に事業所ごとに報告をとりまとめる。
ヤマト運輸は昨年8月、30代の元ドライバー2人に未払い賃金があったとして、2人が勤めていた神奈川県内の店舗が、横浜北労働基準監督署から労働基準法違反で是正勧告を受けており、内容について係争中。ただ、同社は労使交渉などで労働環境の改善を急いでおり、是正勧告も受けて勤務実態の解明が急務と判断した。