経営再建中の東芝が4月に分社する半導体事業の株式売却について、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業や欧米系の投資ファンドなど5社以上が関心を示していることが分かった。企業価値が1兆5000億~2兆円と試算される新会社の全株売却に踏み切る案も浮上。その際は1社だけで資金を出すハードルが高くなるため、複数社が組んだ買収が有力との見方も出ている。
「真剣に考えている」。鴻海の郭台銘会長は1日、中国広州市で記者団の取材に応じ、東芝の半導体事業への出資に意欲をみせた。
鴻海は昨年、経営危機に陥ったシャープを傘下に収めた。同じ日本の電機大手の東芝が手掛ける半導体の主力製品「フラッシュメモリー」は世界シェア2位の優良事業であり、強い関心を示す。
買い手候補には投資ファンドの米ベインキャピタルや米シルバーレイク・パートナーズのほか、米ウエスタンデジタルや韓国のSKハイニックスなどの半導体大手、米アップルなどの顧客IT大手の名前が挙がっている。
各社の提案はこれからだが、東芝幹部は「ファンドなら文句はない」と有力候補とする。同業なら独占禁止法上の審査対象になり、株式売却による資金調達に相応の時間がかかるためだ。ただ、ファンドが買った後に「中国に転売されたら困る」と、技術流出は避けたいとの注文を付ける。