東芝は24日に取締役会を開き、半導体事業を分社して株式を売却する割合を過半数に引き上げる方針を決定する。新たな条件で出資提案を募り、売却交渉を本格化する。半導体新会社の概要や分社の是非を問う臨時株主総会の日程などについても固める。
東芝は当初、分社して設立する新会社の株式の売却割合を20%未満とし、2月上旬に出資企業を選ぶ入札を実施していた。しかし、財務の抜本改善には1兆円以上の資金調達が必要と判断し、株式の過半を売却する方針に転換、入札を仕切り直す。
新たな売却条件は「とにかく大きな金額を出せるということが第一」(幹部)で、ほかにも独占禁止法の審査など売却手続きが円滑に進むことや、従業員の雇用維持などを求める方向で調整中だ。交渉に時間をかけて高値を引き出すため、売却完了時期も2017年度中に見直す。
一方、東芝が、日立製作所、三菱重工業と検討している原発燃料事業の統合は予定より大幅に遅れる見通しだ。早ければ今春にも統合する方針だったが、現時点でめどは立っておらず、少なくとも数カ月は遅れるとみられる。東芝の原発事業を統括する志賀重範会長が巨額損失の責任を取って15日に辞任し、交渉責任者を欠いているためで、同社の経営混乱の影響が他社との再編にも及んでいる。