「遺言代用信託」の利用拡大 終活に関心、地銀も提供

2017.1.16 05:00

 信託銀行に預けた資産を本人の死後にあらかじめ指定した方法で遺族が受け取れるようにする「遺言代用信託」の利用が広がっている。相続や墓などの備えをする「終活」への関心が高まり、自分の死後、トラブルなどで家族に迷惑を掛けたくないという人が増えているようだ。信託銀だけでなく、地方銀行も大手と組むなどしてサービスを提供している。

 遺言代用信託は、依頼者の死後、死亡診断書などを提示すれば相続人らがすぐに遺産を受け取れる。要件が厳格な遺言書を作成する必要がなく、簡単な手続きで財産を希望通りに引き継げるのが特徴だ。銀行預金は遺産分割の協議が終わるまで口座が凍結されることがあるため、葬儀費用や当面の生活費の備えとして遺言代用信託を利用することが多いという。

 2012年度から新規契約数が大幅に伸び始め、09年度から16年9月末までの累計は約14万3000件となった。金融機関にとっては遺族への接点を確保し、新たな取引につなげられる利点がある。

 大手信託に加え、広島銀行や伊予銀行などの地銀も自行の商品を扱っている。北海道銀行は昨年10月から、みずほ信託銀行も商品の販売を始めた。北洋銀行も今年2月から同様にサービスを始める。ほかにも十数行の地銀がみずほ信託の商品の導入を検討している。

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