JR東日本が来春から運行する豪華観光電車「トレインスイート四季島」の車内ラウンジのイメージ(JR東日本提供)【拡大】
世界の旅行者数のうち富裕層の割合は約3%だが、旅行消費の約25%は富裕層によるものとされる。全世界の国際旅行者数は15年の11.8億人から30年に18億人に達すると見込まれ、富裕層の旅行消費ペースが現在と変わらなければ「爆買い」の鈍化を補ってあまりある伸びが期待できることになる。
需要取り込み始動
需要取り込みの動きは既に始まっている。森トラストは運営する宿泊施設について、米高級ホテルチェーンのマリオットへのブランド替えを進めており、17年には計6カ所のブランド替えが完了する見通しだ。百貨店大手の大丸松坂屋百貨店は年間100万円以上の免税買い上げ実績のある訪日客に通訳アテンド(要予約)の特典がついた専用カードを発行する。
◇
■快適さに“切れ目” 一つ一つ解消必要
世界の観光業界でも富裕層向けの旅行先として日本が注目され始め、今年2、3月には、富裕層向け観光の商談イベント「インターナショナル・ラグジュアリー・トラベル・マーケット(ILTM)」が初めて東京で開催され、過去最大の159社が参加した。政府も3月にまとめた「明日の日本を支える観光ビジョン」で、富裕層へのプロモーションを主要な視点として盛り込んだ。
ただ今後も日本観光が世界の富裕層需要を取り込むにはハードルが残る。