「雑誌離れ」が止まらない。雑誌を主力商品としてきた町の書店にとって、雑誌の売り上げが書籍を下回ったという状況は、経営の屋台骨を揺るがす非常事態と言える。
雑誌が好調だった1970~90年代は、大量消費社会が成熟した時期。情報満載の雑誌は、トレンド発信の花形的存在として書店を彩った。
だが近年はインターネットの発達やスマートフォンの普及で、人々に「情報はタダ」という意識が広まり、電子雑誌の読み放題サービスなど雑誌自体の電子化も進み、紙の雑誌を巡る状況は厳しくなった。経費節減で銀行や美容院の定期購読の受注減も影響し、書店の廃業は後を絶たない。
情報の量ではなく、質が問われる現代。読者のニーズに応える雑誌、書籍を生み出し、的確、迅速に届ける-。出版社や取次会社、書店がそれぞれの役割を見直し、その当たり前のことに真摯に向き合わなければ、将来の展望は開けない。