【PC Watch】紆余曲折を経たHHKBの20年(下) (1/3ページ)

2016.12.5 05:00

HappyHackingKeyboardの1996年発売の初代モデル(奥)と今年4月発売の最新モデル(PFU提供)
HappyHackingKeyboardの1996年発売の初代モデル(奥)と今年4月発売の最新モデル(PFU提供)【拡大】

  • HHKB20周年パーティー。コンセプト考案者の和田英一氏(前列左から4番目)をはじめPFUの歴代関係者も集まった
  • フレームはアルミ削り出し、キーは輪島塗の「HHKBProfessionalHGJAPAN」。一生涯使えるキーボードだからこそ実現したとも言えよう

 ■ユーザーの愛に支えられ

 富士通傘下のPFU(横浜本社・横浜市中区)が開発製造、販売を手掛けるキーボード「Happy Hacking Keyboard」(HHKB)が、12月20日で初号機登場から20周年を迎える。それに先立ち開かれた祝賀パーティーで、淘汰(とうた)が著しいPC市場で、なぜHHKBが生まれ、そしてなぜ20年間ほぼ同じフォルムを貫けたのかについて、製品開発の初期の段階から携わる開発者らが熱く語った。前回はHHKBコンセプト考案者、東京大学名誉教授の和田英一氏の話をお届けした。今回は、パーティーの後半で語られた、開発に携わった社員らの“裏話”を紹介する。

 ◆異例のプロジェクト

 実はHHKBのプロジェクトが始まった当時、事業推進部門にいた松本秀樹氏(現・イメージング部門の国内営業統括部長)は「なんでこんなプロジェクトがあるんだ、ウチはPC屋だぞ」と思っていたという。だが、当時、松本氏の上司が「社内で面白いチャレンジがあるのはいいことじゃないか、品質管理とかサポートとか、そういったことを取っ払ってやってみようじゃないか」と推し、プロジェクトの実現に踏み切ったという。それだけHHKBは異例のプロジェクトだったのだ。

 HHKBの最初の試作機はX端末のキーボードで、それを糸のこぎりで切り貼りして完成させたという。初代の開発にかかった費用は2000万円。それを少しでも回収しようと、1台3万円という価格設定にした(500台で1500万円の売り上げ)。

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