【テクノNavi】鹿島が新土壌改良材を開発 魚類の環境配慮し地盤固化

2016.11.15 05:00

鹿島が実施した「泥CURE」による土壌改質試験=岩手県宮古市
鹿島が実施した「泥CURE」による土壌改質試験=岩手県宮古市【拡大】

 鹿島は、魚類の生育環境に配慮した土壌改質材「泥 CURE(デイキュア)」を開発した。中性または弱アルカリ性で環境への負荷が小さいだけでなく、軟弱な地盤を大型重機が走行可能な強度まで改質できる。

 泥CUREは、吸水性能の高い自然鉱物を含み、瞬時に土壌中の水分を吸収できる。また、無機材料の化学反応により、土壌を固めるとともに重金属などが水中に溶け出さないようにするのも特長だ。

 軟弱地盤の改善には、これまで石灰やセメント、石膏(せっこう)などが用いられている。石灰やセメントは固める性能が高く、再び泥にならないといった長所がある一方で、高いアルカリ性を示したり、改質材自体に重金属類を含んでいたりする課題があった。高いアルカリ性となれば、化学反応などにより軟弱地盤中の有機物からアンモニアガスなどが発生する恐れがある。

 泥CUREで改質後の土壌のpH(ペーハー)は、中性または弱アルカリ性。鹿島は、水槽の底に改質した土壌を入れて、そこにサクラマスの稚魚を用いて試験を実施し、生息に問題がないことを確認した。

 鹿島は、岩手県発注の閉伊川災害復旧水門工事(工期は2021年3月まで)で、泥CUREを初めて適用。河床の表層部(深さ約50センチ)の土と泥CUREを撹拌(かくはん)させ、土壌改質を行った。その結果、土壌は改質前と比べて約6倍の強度を得て、24時間後には15トン級のブルドーザーが走行できた。

 公共事業をめぐっては、水門や橋脚の基礎工事などを中心に自然環境に配慮した工事が増えており、鹿島はこうした工事で、泥CUREを積極活用していく方針だ。

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