第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは「まさかの事態だ」と語り、不安を隠さない。市場関係者には、日経平均株価は1万5000円台に落ち込むとの予想がある一方、国内株価への影響は短期的との見方もある。
熊野氏は年内に想定されていた米国の利上げは難しくなったと予測する。「円相場は円高ドル安が定着するのではないか」と指摘し、年末までに1ドル=97円まで円高が進むと見込む。「楽観論は禁物だ。トランプ氏の政治家としての手腕は未知数で、政策の是非を巡り、長期的には市場が混乱する恐れがある」と身構える。
大和証券の細井秀司日本株シニアストラテジストは「株式相場の下落は一時的で、年末に向けて上昇に転じる」と話し、日銀が金融緩和策の一環で進める上場投資信託(ETF)の買い入れも相場を下支えするとみている。当面の市場の関心は米利上げの有無や原油価格の動向に移ると予想する。