東京電力ホールディングスが、16日投開票の新潟県知事選の行方に神経をとがらせている。柏崎刈羽原発6、7号機が原子力規制委員会による安全審査の終盤を迎えており、早ければ今年度内の合格が見込めるだけに、立地県知事の了承が最後のハードルになるためだ。再稼働できなければ脱国有化の道筋が描けず、首都圏の電気料金も高止まりが続くなど悪影響が懸念される。
「これで一安心、と思ったのだが…」。東電の関係者は顔をしかめる。泉田裕彦知事の不出馬表明で柏崎刈羽原発の再稼働はほぼ確実と安堵(あんど)感が広がっていただけに、再稼働の是非が争点の一つとなった選挙戦に戸惑いが広がっている。
東電は今年度内に社債発行を再開し、2017年4月から政府の経営への関与を徐々に減らす脱国有化の道筋を描く。政府も膨らみ続ける福島第1原発の事故賠償や廃炉費用の補填(ほてん)策を検討し東電を後押しする。
だが、新知事の反対で柏崎刈羽6、7号機の再稼働ができなければ、1基当たり年間約1200億円の収支改善効果が得られない。東電は黒字転換を果たしたとはいえ、原油安による火力燃料費の減少が主因だ。自律的な経営再建には再稼働が不可欠なため、来春以降も見通しが立たなくなれば、公的管理期間の延長がいよいよ現実味を帯びる。