東京電力福島第1原発事故による避難指示区域内の農林業の営業損害賠償をめぐり、東電は21日、一律での賠償は2018年分で打ち切る方針を明らかにした。東電福島本社の石崎芳行代表らが福島県庁を訪れ、県や農林団体などでつくる県原子力損害対策協議会(会長・内堀雅雄知事)の会合で示した。
区域内の賠償は来年1月以降の分として、損害の2年相当分を一括で支払い、その後は事故と「相当の因果関係」のある場合に個別で対応する。会合で東電は、一括での支払いについて「避難指示の解除時期などで差がつかない、公平で簡便な方法だ」と強調した。
避難指示区域外の農林業の賠償については、事故前と16年の利益の差額の2年分を一括して支払い、その後は個別での対応に移行する。
東電の方針に対し、JAグループなどが同日、福島市内で開いた会合では、一括支払い後の個別対応に懸念を示す意見が続出。「原発事故と損害の因果関係を証明するため多大な手間と経費がかかる」「個別対応の具体的な基準が示されていないため不安だ」などの声が上がった。同グループなどは今後も対応を協議する。
農林業の営業損害の賠償は請求期間が今年12月末までとなっており、来年1月以降の枠組みは決まっていなかった。県や農業団体は新たな枠組みを早期に示すよう、東電や国に要望していた。