マンションの仲介・販売の現場で、VR(仮想現実)技術を活用する動きが相次いでいる。顧客が現地に行かなくてもマンションの室内にいるかのような疑似体験ができるため、「臨場感がある」「短期間で複数の物件を見学できる」などのメリットがある。マンション市場ではマイナス金利という追い風が吹くものの、消費者の購買意欲が伸び悩んでいるだけに、各社はVRによる販売戦略で需要を喚起したい構えだ。
大京穴吹不動産(東京都渋谷区)は今月15日から、「ぐるっとネットdeオープンルームVR」のサービスを始めた。スマートフォンを取りつけた箱型の装置「VRゴーグル」を上下左右に動かすことで、まるで実際の部屋の中で見学しているかのような臨場感で物件見学を疑似体験できる。
同社は、営業拠点70店舗にVRゴーグルとVR撮影用のカメラを導入。営業マン自らがこのカメラで室内やベランダからの眺望などを撮影し、セールスポイントを説明。現在、約880件の物件で新サービスに対応している。このシステムを活用すれば短期間で複数の物件を見学できるほか、売り主・貸主の双方が立ち会わなくて済むため手間が省け、売買しやすくなる。