三菱航空機(愛知県豊山町)が開発を進める国産初のジェット旅客機MRJ(三菱リージョナルジェット)の米国に向けた飛行が、9月下旬以降にずれ込む見通しとなったことが30日、分かった。空調システムの不具合で2日続けて離陸後に引き返しており、修理や今後の飛行手続きに時間がかかる。
三菱航空機は不具合について、空調の異常を検知するための監視センサーが誤作動したとの見方を明らかにした。米ワシントン州の空港で9月9日(現地時間)に予定している飛行試験拠点の開所式の日程を見直すことも検討している。
MRJは実用化に向け計2500時間必要とされる飛行試験の大半を、天候などに恵まれた米国で実施する方針。米国での試験開始が遅れることで2018年半ばの初納入への影響が懸念されるが、三菱航空機は「納期に変更はない」としている。
MRJは今月27、28日に2日連続で愛知県営名古屋空港を離陸し、いずれも飛行中に空調の異常を示す表示が出たため急遽(きゅうきょ)引き返した。
三菱航空機によると、両日とも空調機器には問題が見つからなかった。空調システムは機内の温度と気圧を適切に保つ装置で、MRJは監視センサーを含め米国メーカーの製品を採用している。再飛行するには、部品を取り寄せなければならない可能性がある。米国への飛行で経由地となるロシアの当局から空港の使用などの許可を取り直す必要もあるという。
半世紀ぶりの国産旅客機となるMRJの開発は計画変更が相次ぐ。ANAホールディングスへの初納入は4度の延期を経て18年半ばとなった。