ウーバーが日本で失敗した本当の理由(1) 革新的サービス会社として市民に支持されず (2/5ページ)

 何が起こっているか理解するためには、まず、聞こえの良い「シェアリング・エコノミー」というくだらない表現は一度脇へ置いておく必要がある。

 ウーバーや、民泊で話題の空き部屋マッチングサービスAirbnb(エアビーアンドビー)はいずれも法律や規制の格差を利用するビジネスモデルだということを理解しなければならない。米国で既存のタクシーやホテルに比べて新興サービスが価格の面で圧倒的に有利なのは、競合する既存各社が従わなければならない法律や規制をわざと無視しているからだ。ウーバーの運転手のほとんどは旅客自動車運転手や送迎運転手としての免許や資格を持っておらず、営業登録、保険加入、車両の定期点検を行っていなかったり、「アメリカ障害者法」に従っていなかったりする。また、エアビーアンドビーのホストは日常的に各国の都市計画法や自治体の法令を無視し、宿泊税の納税や安全基準、保険加入を怠っている。

 このビジネスモデルの非常に巧妙なところは、法令破りの大部分は運営会社ではなく運転手やホスト個人によってなされているというところだ。彼らは会社の従業員ではないため、ウーバーやエアビーアンドビーはその行為に対して責めを負わない。運営会社の法的立場によれば、ウーバーやエアビーアンドビーは単なるプラットホームで、運転手やホストは自らの意思で営業している独立契約者に過ぎない。明らかにナンセンスだが、この法的な虚構が作り上げる強固な盾により両社は守られている。

これ以上に米国らしいビジネスモデルがあるだろうか