3兆円買収は社長続投劇の要因 ソフトバンクG孫社長 でも「大型買収はしばらく封印」

インタビューに応じるソフトバンクグループの孫正義社長=19日、東京都港区(三尾郁恵撮影)
インタビューに応じるソフトバンクグループの孫正義社長=19日、東京都港区(三尾郁恵撮影)【拡大】

 ソフトバンクグループの孫正義社長は19日の産経新聞のインタビューで、6月に急きょ社長から退任する方針を撤回したのは英半導体設計大手アーム・ホールディングスの買収が視野に入っていたためと明らかにした。その上で、同社の会長就任を検討しているとし、今回の買収により強化を図るIoT(モノのインターネット)分野は人工知能(AI)の活用でも重要になるとの認識を示した。(高橋寛次)

 新たに半導体設計の分野に参入することについて孫社長は「これまでもパラダイムシフト(劇的な変化)の時は、今までやったことがないことに挑戦してきた」と振り返った。平成18年にはスマートフォン時代を見据えてボーダフォン日本法人を買収し、携帯通信事業に参入している。

 IoTに関しては「コンピューターの知性が人間を圧倒的に超える時代がくる。AIに必要なのは地球上の森羅万象のデータを大量に集めることだ」と強調。そのためにも自動車や家電など、すべてのモノをネットにつなげるのに欠かせない半導体の重要性を指摘した。

 次期社長候補だったニケシュ・アローラ氏が6月に副社長を電撃退任する契機となった、孫社長の引退撤回の背景にもアーム買収があったという。「(アームに)オファーはしていなかったが、こういうことをやりたいという考えがあった」と明かした。

 19日の東京株式市場での株価下落に関しては「新しい大きな挑戦だから、すぐに連想がわきにくいのだろう。価値に転換できるという(株主の)理解が深まれば上がると思う」と自信を示した。

 ただ、大型買収は「しばらくは封印する。続けると銀行や株主が消化不良を起こす」と述べ、3、4年は小休止するとした。