ソフトバンクグループが英半導体設計大手アーム・ホールディングスの買収に踏み切ったことで、日本企業による海外企業のM&A(企業の合併・買収)に弾みがつく可能性がある。人口減少などで国内市場の先細りが避けられない中、内需関連に限らずハイテク関連でも成長の原動力を海外に求めるという流れは加速するとみられるためだ。(森田晶宏)
「国内市場は産業を問わずに飽和状態になってきている。新たな成長の芽を見つけるには、海外に出ざるをえない」。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長は、日本企業が海外M&Aに動く背景をこう説明する。
M&A助言のレコフによると、日本企業の海外M&Aは昨年に11兆1752億円と初めて10兆円を突破。東京海上ホールディングスや明治安田生命保険がそれぞれ米保険会社を買収するなど、金融関連を中心に大型案件が多かったためだ。
今年1~6月をみると、件数が前年同期比18・6%増の306件と過去最多となった半面、金額は前年同期の反動で66・4%減の1兆9284億円となった。ただ、ソフトバンクによるアームの巨額買収で、通年ベースの金額が大きく押し上げられるのは必至だ。