経営再建中のシャープが23日に株主総会を開き、鴻海(ホンハイ)精密工業への傘下入りや新経営陣の選任を決議する。外資主導での大胆な改革に期待が掛かる一方、さらなる人員削減方針に社員の間で動揺が広がっており、立て直しが円滑に進むかは未知数だ。株主から不満や疑問が相次ぐ可能性もあり、総会は波乱含みとなりそうだ。
鴻海を引受先とする第三者割当増資の承認には出席株主の3分の2以上の賛成が必要となる。可決されれば、鴻海への傘下入りが正式決定する。
出資後に新社長に就く鴻海グループの戴正呉副総裁ら役員の選任は、過半数の賛成で可決する。総会の議案には、本社を大阪市から堺市の工場所在地に移転する定款変更なども含まれる。
シャープは金融機関など主要株主からの賛同を順調に得られているとして、「全ての議案が問題なく可決される」(シャープ幹部)とみている。
昨年の株主総会では主力銀行による金融支援策が承認されたが、液晶事業の不振は今も解消されないままだ。2016年3月期連結最終損益は2年連続の巨額赤字となり、無配も4年続いている。
株価は昨年12月と今年1月に108円まで下がり、約半世紀ぶりの安値水準に落ち込んだ。現在は120円台で推移しているが、前年同期に比べ40円ほど下落している。
株主から経営責任を追及したり、明確な業績回復の手だてを求めたりする声が出るのは必至だ。総会は最長だった昨年の3時間23分を超す可能性もある。