車両レンタル大手のオリックス自動車が、営業用バンを改造した「移動事務所車」のレンタルを、全国の営業所60店舗で始めたことが分かった。机があり、エンジンを止めても搭載した蓄電池でエアコンが使えるのが特長で、仮設事務所の設置が難しい建設現場や被災地などでの利用を想定している。
日産自動車の多目的商用バン「NV200」を改造した。9月末までに100台を配備する。基本料金は12時間当たり1万3500円だが契約期間により割引がある。
建設現場では近くにプレハブを建てて作業員の日報の管理や見積書作成などをすることが多い。しかし工期が短い現場や沿岸部、山間部では事務所建設がしにくい。移動できれば複数の現場を一度に管理するにも便利だという。
2020年の東京五輪を控え、建設業界は慢性的な人手不足となっており、厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、15年の業界の月間労働時間は171.5時間と全産業平均(144.5時間)を2割近く上回っている。
移動事務所車は、遠方の現場から事務所に戻り日報などの作業をしていた担当者の労働時間を短縮したり、過酷な現場での熱中症を予防したりするなど働き方の見直しに役立つと期待される。
これまでオリックス自動車は、大手建設グループの要望を受け特注で提供していたが、多くの企業から「すぐ借りられないか」などの問い合わせが増え、全国展開を決めた。蓄電池は車を走らせれば充電できるので、災害時の活用も見込む。